かつては「好きなことを仕事にしています」と聞くとバリバリ仕事している事業家やフリーランスを思い浮かべていました。
しかし実際にフリーランスになってみると周りにも同じような働き方をする人が徐々に増えてきて、働き方も各々かなり幅があることを知りました。
これからは会社勤めをしながら副業として、また専業主婦や育児をしながら、一度リタイアして高齢といわれる年代に入ってからもフリーランスとして収入を得る人が多くなるのではと思っています。
そこで「取り立てて得意なこともない一般的な会社員」だった私が会社を脱出し、フリーランスになって「好きな仕事をしています」と言えるようになったきっかけとそこにたどり着くまでに気をつけていた考え方や行動を振り返ってみました。
目次
会社員からフリーランスへ
私自身はいわゆる「やり手事業家」でも「意識の高い系フリーランス」でもなく、どちらかというとコツコツ仕事をするマイペースタイプです。
興味のあることをやっていったらフリーランスにたどり着いて、結果として好きな仕事をしていたという感覚です。
なぜなら会社勤めをしていた時も仕事はそつなくこなせていましたし、昇進を目指すことはないけど所謂一般的な会社員に適した性格だと思います。
今の仕事をスタートする時もあえて「会社を辞めて独立するぞ!」と意気込んで始めたのではなく、何ならバイト気分の軽い副業という気持ちで選んだ道でした。
当時の会社員はアルバイトはおろか兼業が許される時代ではなかったので、会社に内緒でこっそり活動しなくてはいけませんでした。ですのである程度副業として回るようになるとどんどん時間も体力も足りなくなってきて、会社を早々に退職しフリーランスを選択することにしたのです。
残業時間もかなり制限されている今なら、会社勤めをしながら副業として働くという選択肢もあったかも知れません。
何れにせよわずかでも収入を得られるようになると、組織を離れても収入を得られるという自信になりますし、会社に対する見方も変わりました。
この自信は前へ踏み出すためにとても大切な一歩となりました。
今では「フリーランスは大変だけど楽しいことも多いし、会社勤めに戻るのは難しいかな。」と思うようにまでなりました。というのも会社員と大きく変わらない生活レベルを保ちながら、精神的には全く比較にならないほど心豊かに暮らせているからです。
好きな美容が仕事に
ストレスいっぱいの毎日
何の区切りもなく続く同じような日々。
達成感がない業務で月に何十時間も残業。肌荒れしてニキビだらけ。ストレスを発散することが目的の飲み会や旅行。休日は疲れて寝るが何よりの幸せ。
毎日とても疲れていて、ストレスいっぱい。少しでも不愉快な事があるとイライラしてました。
ふとそんな自分がとても嫌いになりました。
30歳を目前に控えた頃「一生この仕事でいいのかな」と悩んでいた時です。
知人から気晴らしにと声を懸けられた偶然のお誘いが今の仕事に携わるきっかけとなったのです。
希望を持って会社に入った頃を思い出す
使っている化粧品の「お肌の勉強」という名目のイベント。
ちょうどストレスで片耳が聞こえなくなったこともあり、観光と癒しがメインの旅行気分で申し込みました。
しかし実際に参加してみるととても興味深い内容でした。
さらに仕事している人やそこに参加している人がとにかくいい人。すごくキラキラしたデパートの美容部員さんとは違うけれど、素朴でナチュラルな美しさと穏やかな空気を纏っている方ばかりでした。
気軽に参加したつもりが肌の仕組みやスキンケアの大切さを知ることになり「トラブルの多い自身の肌のコントロール方法を身につけられるのではないか」「お肌のことをもっと勉強したい」と考えるようになりました。
また会社を続けるか悩んでいたこともあり「どうせ何をやっても仕事は大変。同じ時間ならこういう人達と興味のある仕事に関わりたい。」と思いました。
イベントに参加したことで、入社したばかりの頃に好きな仕事で活躍したいと思って純粋に頑張っていた自分を思い出しました。
一度の人生やりたいことに挑戦
最初は「嫌になったらやめればいい」という感覚でスタート。しかし実際にやってみるとどちらも中途半端になってしまいました。
前述の通り当時は副業が許される時代ではなかったので、フルタイム勤務に残業は月に40時間以上。プラスしてサービス残業というのも当たり前だったからです。
疲れきった体に自分の器と性格を考えると、当時の私には二つ同時進行はどうにも無理でした。
「貯金もあるし、もし失敗してもやり直せる」と考え、会社を辞めて半年を期限に集中して頑張ってみようと決断しました。
経験したことのない営業は度々心が折れ「私には合わないのでは?」と何度も挫けそうになりました。
それでもなんとか条件を達成し、半年後に正式にスキンケアカウンセラーとしてスタートすることができました。
楽じゃないけどやりがいがある
それから2~3年は安定とは程遠く、フリーになったことでの自由と不安の間でもがきながら何度辞めようかと考えたかわかりません。
それでも働く中で少しずつ今までにないやりがいを感じることができ、たくさんの方に応援され今まで続けて来られています。
フリーランスでやりがいを感じられるポイントはたくさんありますが、その中でも私にとって大きいのはこの3つです。
- 誰かから与えられたり指示されてやっているのではなく自分で仕事を選べる
- 会社への評価ではなく、個人への評価が実感しやすい
- 良くも悪くも自分の能力や評価が収入や結果に直結する
やりがいを感じられたことで仕事は「生活のためにやらなければならないもの」から、「体力の続く限りやりたいこと」になりました。
イベントに誘っていただいたことが転換期となり、それから私の価値観や人生は大きく変わりました。今の仕事に携わる機会を与えて下さった先輩に心から感謝しています。
最初の一歩の見つけ方
やりたいことが見つからない時
新しいことに挑戦したいのにやりたいことが見つからない時、最初はとにかく自分の好きなことに関わる業界に接するように努力します。
「読書は好きだな。本屋さんか出版関係で働けないかな。」「英語は得意だな。日常英会話を使える仕事を探そう。」とかそんな程度です。
バイトでもパートでも派遣でも、とにかく接してみないと良いも悪いもわからないからです。
しかし実際には給料が安いとか、休み少ないとか、家から遠いとか。条件を並べて前に進むことを躊躇し挑戦する前から挑戦しない理由を探したり、楽なものや条件の良いものを選びたくなります。そして「新しいことに挑戦したい」とか「やりたいことを見つけたい」という元々の目的を見失いがちになります。
私がスキンケアカウンセラーにたどり着いたのは、たとえきっかけはストレス解消のための行動であっても興味のある美容に関わることを選んでいるという事は非常に大きかったと思います。
わからないことや新しいことに踏み出す時に恐怖や躊躇する気持ちは誰にでもある当たり前の心理。でも嫌なら辞めてもいいから、とにかく興味あるものに挑戦してみようと腹をくくると楽しめました。
条件がすべて合わなくても好きなことを選ぶ
パートやアルバイトの場合、最初は時給や収入が低かったり休みが少なくても、お金をいただきながら勉強できると思って働けば得しかないと思っています。
信頼を得られるようになるとより高度な仕事を与えられ、さらに勉強させて貰えます。
大多数の人にとっては合わないといわれる会社でも、入ってみたら自分には合っていたということもあります。なので興味があったり好きだと思ったらとにかく継続して接してみます。
逆にやってみたもののこれは違うなという時は、雇用主や職場の人間関係がどんなに良くても続きませんでした。尊敬できる上司に後ろ髪を引かれながら、最後に背中を押して貰って退職したこともあります。
フリーランスの場合、最初は仕事を選ぶ余裕はないかと思います。細かい条件が揃うのを待っていたら時間はどんどん過ぎてしまいます。とにかく最初は報酬は少なくても勉強と思って何でも引き受け、幅広く着手すると物事は動いていくと実感しています。
もちろん生活に困らない程度のお金は必要ですので、貯金がなければ会社勤めや他の収入を得ながら小さく始めるのが不安もなく、気持ちに余裕を持ってできると思っています。
とにかく最初は細かいことは気にせず、たとえ数百円でも好きなことで収入を得られるという体験を重ねることが継続するためにとても重要でした。
自分だけでやろうとせず信頼できる人に頼る
自分の判断に自信が持てない時には自分の事を心から思ってくれている人、大切な人、信頼できる人に話します。
一人だけでやるより周りを頼った方が視野が広がりますし、様々な形で応援してくれたり、さらに「こんなことをしたい」などと話しておくと、周りの方からアドバイスを貰えたり案件を紹介して貰うこともあります。
最初はどんなに行動していても上手くいかなくて不安になったり、なかなか結果に結びつかない時期が定期的にありました。
また何から手をつけていいのかすら判らず「やっぱり自分には向かないんだ。」とスタート前から自信をなくし諦めてしまいそうになります。
さらにフリーランスになると組織から守られていた事に気づくことが多々ありました。フリーランスなりたては特に不安や孤独を感じやすいです。
そんな時側に居てくれる人は大切です。危険だったり、関わらない方がいいものに近づいたら止めてくれたり、「怪我くらいはするかも知れないけどやってみれば」と背中を押してくれたり。大きなトラブルに直面した時ほど頼りになるのはやはり信頼できる人です。
私もまだまだやりたい事がたくさんあるので、チャンスか来たら周りの力を借りながらさらに挑戦を重ねたいと思っています。